住める家と、暮らせる家は違います。

リフォーム・改修

家を探すとき、多くの人は間取りや築年数、日当たり、駐車場の有無を気にします。

介護や障害が関われば、そこに手すりや段差、車椅子で移動できる広さなども加わるでしょう。

もちろん、それらは大切です。

しかし、私は作業療法士として多くの方の生活に関わる中で、あることを何度も感じてきました。

「住める家」と「暮らせる家」は、必ずしも同じではありません。

家の中に問題がなくても、暮らしそのものが成り立たないことは少なくないのです。


家を出た瞬間から、住環境は始まります

例えば、自宅の中は完璧にバリアフリーだったとします。

玄関には手すりがあり、段差もありません。

浴室やトイレも使いやすく改修されています。

それでも、

病院まで車で30分。

最寄りのスーパーまで2km。

バスは1日に数本。

雪が降れば歩道は歩きにくくなる。

タクシーを利用すれば往復で数千円。

こうした環境では、家の中が安全でも、生活そのものは少しずつ不自由になっていきます。

住環境とは、建物だけではありません。

家を出てから目的地までの環境も含めて、初めて「暮らせる住環境」になるのです。


函館にも、そんな場所があります

函館市は比較的コンパクトな街ですが、地域によって生活環境は大きく異なります。

市街地であれば徒歩圏にスーパーや病院がある地域もあります。

一方で、郊外では車が生活の前提になっている地域も少なくありません。

さらに北海道ならではの課題もあります。

冬は積雪や路面凍結。

春になれば雪解けによる舗装の傷み。

坂道の多い地域。

公共交通機関の減便。

高齢になって運転免許を返納した瞬間、それまで当たり前だった生活が一変することもあります。

これは函館だけではなく、多くの地方都市が抱えている現実です。


「歩ける」ことと、「暮らせる」ことは違います

病院では、

「100メートル歩けます。」

「杖で歩行できます。」

という評価を行うことがあります。

もちろん、それは大切です。

しかし、生活では別の問題が起こります。

買い物袋を持って歩けるでしょうか。

冬道でも歩けるでしょうか。

バス停までたどり着けるでしょうか。

通院を続けられるでしょうか。

つまり、身体機能だけでは生活は評価できません。

本当に見るべきなのは、

「その人が、その地域で暮らし続けられるか」

ということなのです。


家を改修しただけでは、生活は変わらないことがあります

住宅改修は非常に重要です。

転倒予防にも、自立支援にも欠かせません。

しかし、それだけで生活の課題が解決するとは限りません。

家の外に出られない。

買い物へ行けない。

地域とのつながりがなくなる。

こうした問題は、住宅改修だけでは解決できないからです。

だから私は、住環境を考えるときには、

家だけではなく、

道路、

歩道、

公共交通機関、

商業施設、

医療機関、

そして地域とのつながりまで含めて考える必要があると思っています。


住環境は、「建物」ではなく「生活」を支えるものです

住環境という言葉から、住宅設備を思い浮かべる方は多いかもしれません。

しかし、本来支えるべきものは建物ではありません。

その人の生活です。

安心して買い物へ行けること。

病院へ通えること。

友人に会いに行けること。

趣味を続けられること。

そうした毎日の積み重ねがあってこそ、「暮らせる家」になります。

住環境とは、家を評価する考え方ではなく、

暮らしを支える環境全体を見る視点なのです。


チェックリスト

□ 自宅からスーパーまで、安全に移動できますか。

□ 病院や薬局へ無理なく通える環境ですか。

□ バスやタクシーなど、車以外の移動手段がありますか。

□ 冬や雪解け後でも外出を続けられますか。

□ 家の中だけではなく、生活圏全体を含めて住環境を考えていますか。


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