300万円の住宅改修は本当に正しい選択なのか

リフォーム・改修

高齢になり、自宅での生活に不安が出てくると住宅改修が検討されます。

手すりを付ける。

段差をなくす。

トイレを広くする。

浴室を改修する。

こうした住宅改修によって生活が続けやすくなることは少なくありません。

しかし私は作業療法士として現場に関わる中で、

「その改修は本当に必要だったのだろうか」

と感じる場面に出会うことがあります。

今回は住宅改修の是非ではなく、

住宅改修が向いている家と、住み替えを検討した方がよい家について考えてみます。

介護保険の住宅改修は20万円まで

介護保険には住宅改修制度があります。

支給限度基準額は20万円で、そのうち原則9割から7割が給付されます。

対象となるのは、

・手すりの設置

・段差解消

・滑り防止

・引き戸への変更

・洋式便器への変更

などです。

比較的小規模な改修であれば、この制度で対応できます。

しかし実際には20万円では対応できないケースもあります。

本格的な改修になると数百万円になる

例えば、

・浴室全体の改修

・階段昇降機の設置

・増築

・水回りの移設

・間取り変更

などになると数百万円規模になることがあります。

住宅会社の見積もりで200万円から300万円を超えることも珍しくありません。

ここで考えなければならないことがあります。

それは、

「改修後、その家で何年暮らす予定なのか」

という視点です。

私が気になるのは家そのもの

住宅改修の相談では身体機能に注目が集まります。

歩けるか。

立ち上がれるか。

介助が必要か。

もちろん重要です。

しかし私はまず家を見ます。

例えば、

・寝室が2階

・急な階段

・冬の除雪が必要

・病院まで遠い

・独居

・空き部屋が多い

こうした条件が重なる場合があります。

その場合、

手すりを付ければ解決する問題なのか。

住宅改修で対応できる問題なのか。

という視点が必要になります。

改修すべき家の特徴

私が住宅改修に向いていると感じるのは次のような住宅です。

・平屋

・生活動線が短い

・水回りが近い

・介助スペースが確保できる

・家族支援が期待できる

・地域とのつながりがある

こうした住宅は改修による効果が大きくなります。

改修より住み替えを考えるべき場合

一方で、

・総2階住宅

・急な階段

・敷地管理が大変

・除雪負担が大きい

・独居

・買い物や通院が困難

という条件が重なる場合があります。

このようなケースでは、

住宅改修そのものは成功しても、

生活の問題が解決しないことがあります。

空き家問題ともつながっている

2023年の住宅・土地統計調査では、日本の空き家は約900万戸となり過去最多を更新しました。

一方で、高齢者の多くは持ち家に住み続けています。

つまり日本では、

住み替えが必要な家が十分に動いていない可能性があります。

住宅改修か住み替えか。

これは個人の問題だけではなく、社会全体の課題でもあります。

本当に考えるべきこと

住宅改修の目的は家を残すことではありません。

生活を続けることです。

だからこそ、

「改修できるか」

ではなく、

「改修後も暮らし続けられるか」

を考える必要があります。

まとめ

住宅改修は非常に有効な手段です。

しかし万能ではありません。

300万円の改修が正解になる家もあれば、

300万円をかける前に住み替えを検討した方がよい家もあります。

大切なのは工事そのものではなく、

これからの生活をどう設計するかです。

住環境を考えるということは、家ではなく暮らしを考えることなのではないでしょうか。


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