握力が弱くても「できる」に変えられる。生活の困りごとを道具で解決する5つの方法

介護と住まい

以前、このブログでは、握力が弱くなると家の中でどんなことに困るのかを書きました。

ペットボトルの蓋、ドアノブ、蛇口など、私たちの生活には「握る」「つまむ」「回す」という動作が思っている以上にあります。以前の記事はこちらです。

今回はその続きです。

では、実際にできなくなったらどうするのか。

握力を鍛えることも一つの方法です。しかし、生活は今日も続きます。

だから今回は身体を強くする方法ではなく、今ある力でできるように、道具や環境の方を変える方法を考えてみます。

1.滑るなら、力を増やす前に摩擦を増やす

蓋をしっかり握っているのに、指だけが滑る。

こんな場合は、握力そのものより摩擦の問題かもしれません。

ゴムやシリコンなどの滑りにくい素材を間に入れるだけで、同じ力でも回しやすくなることがあります。

これは非常に単純ですが重要な考え方です。

本人の力を10から15にするのではなく、10の力で使える道具に変える。

滑り止めシートやシリコン製のオープナーにはさまざまな形があります。家にあるもので試して改善するなら、それで十分です。

ちなみに、こういうものもあります。結構便利です。

電動の瓶オープナーを見る(楽天市場)

2.つまみにくいなら、太くする

握力が弱い人にとって、小さい物は扱いにくいことがあります。

特にキャップのような物は、手全体ではなく指先で力を伝えなければなりません。

そこで、キャップに被せる道具などを使って握る部分そのものを大きくする方法があります。

これはスプーンや歯ブラシなどの自助具でもよく使われる考え方です。

「力が弱いなら強く握る」のではなく、

握りやすい形にしてしまう。

3.回せないなら「てこ」を使う

握る部分を太くしても難しい場合には、柄のある道具を使う方法があります。

同じ力でも、力を加える位置を変えることで回しやすくなります。

ただし、ここで注意したいことがあります。

大きなオープナーなら誰でも使いやすいわけではありません。

手首に痛みがある。

指が曲げにくい。

片手しか十分に使えない。

こうした場合には、同じオープナーでも使いやすさが変わります。

だから「高齢者向け」「介護用」と書いてあるかどうかより、

自分はどの動作で困っているのか

を見る方が重要です。

4.プルトップは、指で開けなくてもいい

缶のプルトップはさらに厄介です。

タブの下へ爪や指を入れて、持ち上げなければなりません。

握力というより、

指先でつまむ力、引っ掛ける動作、痛み

などが影響します。

ならば、指を入れること自体をやめる。

プルトップに道具を差し込み、道具を使って起こす方法があります。

山崎実業 tower 持ち運べるキャップ・プルタブオープナー

こちらもなかなか便利ですよ!

フィルムフックキャップオープナー tower

実際に使ってもらった

私が関わっている方の中にも、手で握る力だけではなく、指先でつまむ力が使いにくい方がいます。

そこで先日、3Dプリンターで作ったオープナーとプルトップを開けるための道具を渡しました。

喜んでもらえました。

大切なのは、3Dプリンターで作ったことではありません。

市販品で合えば市販品でいい。

家にある物を工夫して使えるなら、それでもいい。

目的は福祉用具を使うことではなく、自分でできることを一つ取り戻すことです。

ただ、市販されている物を見てみると、太さ、長さ、角度、持ち方などにかなり違いがあります。

そこで初めて、

「この形なら使えそうだ」

「これは自分には無理そうだ」

と具体的に考えられます。

5.片手で難しいなら「固定する」

片麻痺などで片手が使いにくい場合、問題はキャップを回す力だけではありません。

もう一方の手で容器を固定できないからです。

これは調理でも同じです。

ボウルが動く。

まな板が動く。

皿が動く。

そこで、

「しっかり押さえてください」ではなく、「押さえなくても動かないようにする」。

滑り止めマットなどを使うだけで解決することもあります。

物を持つとき、力が弱いから落とすとは限りません。

手で押さえていても、対象物そのものが動いてしまえば作業は難しくなります。

例えば調理中のボウルやまな板。

片手で押さえながら作業するのが難しい場合には、下に滑り止めを敷いて、そもそも動きにくくする方法があります。

パール金属 TOUCH st シリコーンシート CC-1537

道具を選ぶ前に、ここを見る

私は「握力が弱い人にはこの商品」という選び方はあまり勧めません。

まず、

困っていること変えてみるところ
滑ってしまう摩擦を増やす
小さくてつまめない太くする
回す力が足りないてこを使う
指先が痛い指先を使わない
片手で固定できない物を固定する
市販品が合わない形や寸法を変える

と考えてみる。

これなら、ペットボトルだけの話ではありません。

蛇口、ドアノブ、調理器具、筆記具、食器、衣服などにも応用できます。

そして、ここから住宅にも同じ考え方を広げられます。

段差を越えられないなら、「もっと足を上げる」だけではない。

段差を小さくする。

支持する場所を作る。

照明を変える。

動線を変える。

このブログで以前取り上げた「段差は何cmから危険なのか」も、結局は人間の能力と環境との組み合わせの問題です。

「できない」を人だけの問題にしない

握力が落ちた。

足が上がらなくなった。

立ち上がりにくくなった。

こうしたとき、身体機能を見ることは大切です。

しかし、

人を変える方法と、環境を変える方法の両方を持っておく。

その方が解決策は増えます。

この考え方は、以前書いた「住環境はリハビリになるのか」にもつながっています。住環境は能力を補うだけでなく、使い方によっては持っている能力を生かすこともできます。

握力が弱くなったから、できなくなった。

そこで終わる必要はありません。

滑るなら滑らなくする。
細いなら太くする。
力が足りなければ、てこを使う。
片手しか使えなければ、固定する。

身体を変えるには時間がかかります。

でも道具なら、今日変えられることがあります。


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