車のドアはなぜ「重い」と感じる? 身近な不便から使いやすさを考えてみた

暮らしの使いにくさ

我が家ではレクサスNXに乗っています。

走りや装備も含めて気に入っている車なのですが、一つだけ、以前から私が少し煩わしく感じていることがあります。

ドアの開け閉めです。

私は身長182cmで、日常生活でドアの開閉に困るような身体状況ではありません。それでも、乗り降りするときに「ちょっと重いな」と感じることがあります。

そして、70歳の母を乗せたときにも言われました。

「このドア、重いね」

母は身長150cmほど。以前、肩の腱板を手術しています。

もちろん、これは「レクサスNXのドアは重い車だ」と評価する話ではありません。私たち家族がそう感じている、というだけの話です。

ただ、ここで一つ疑問が湧きました。

そもそも車のドアの「重い」「軽い」は、何で決まるのでしょうか。

ドアそのものが重いから、重く感じる?

最初に思いつくのは、ドアそのものの重量です。

しかし調べてみると、それほど単純ではありません。

車のドアの開閉には、ドア重量だけでなく、ヒンジ、途中でドアを保持する機構、ウェザーストリップ、ラッチなど、いくつもの要素が関係しています。

ドアを閉める際には、車内の空気圧も影響します。

自動車のサイドドアについては、こうした複数の要因と開閉に必要な力との関係が、自動車工学の分野で以前から研究されています。

つまり、私たちが何気なく言っている、

「このドア重いな」

という感覚の裏側には、かなり複雑な設計があるわけです。

良いドアを作ろうとすると、別の問題も出てくる

車のドアには、開けやすさだけが求められているわけではありません。

静粛性も必要です。

雨や風も防がなければならない。

高速道路を走っても不快な風切り音が出ないようにしたい。

しっかり閉まった感覚も欲しい。

安全性も必要です。

そう考えると、

「だったら、とにかく軽く開くドアにすればいい」

とはならないことが分かります。

実際、高い密閉性によって生じる車内圧が、ドアを閉める際の抵抗になることも研究されています。

つまり製品設計では、

一つの性能を上げると、別の使いやすさとの調整が必要になることがある。

ここが面白いところです。

同じドアなのに、母にはもっと重い

そして我が家の場合。

私は182cm。

母は150cmほど。

さらに母には肩の手術歴があります。

同じドアを使っているのに、当然ながら身体との関係は同じではありません。

腕の長さも違う。

ドアまで手を伸ばしたときの姿勢も違う。

肩や腕で力を出しやすい位置も違います。

私が、

「ちょっと煩わしいな」

で済んでいるものが、

別の人には、

「重い」

になり、条件によっては、

「使いにくい」

まで変わる可能性があります。

ここで大切なのは、誰かの身体能力だけを問題にしないことだと思います。

坂道では、同じドアがさらに変わる

さらに面白いのが駐車する場所です。

平らな場所と傾斜した場所では、同じ車、同じ人、同じドアでも開閉したときの感覚が変わります。

風が強ければ、また変わります。

隣の車との間隔が狭ければ、大きく開けることもできません。

つまり「使いやすさ」は、

人 × 製品 × 環境

の組み合わせで変わります。

車そのものだけを見ていても分からないことがあるわけです。

メーカーも当然、考えている

もちろん自動車メーカーも、こうした問題を放置しているわけではありません。

半ドア状態から自動的に完全に閉めるイージークローザーや、電動スライドドアなど、「人が大きな力を出さなくてもいい」仕組みはすでにさまざまな車で採用されています。

自動車業界では、ドアの開閉に必要な力とユーザーが感じる品質との関係についても研究されています。

つまり、

「開けばいい」「閉まればいい」ではなく、どう感じるかまで製品性能の一部になっている。

ここは非常に興味深いところです。

「使える」と「使いやすい」は違う

私はNXのドアを普通に開けられます。

母も開けることはできます。

だから、

「使用可能か、不可能か」

という二択なら、我が家では問題なしということになります。

でも、それだけでいいのでしょうか。

毎回ちょっと力が必要。

毎回ちょっと煩わしい。

毎回身体を少し頑張らせる。

生活用品には、こういうものが結構あります。

そして年齢や身体の状態が変わると、その「ちょっと」が大きくなります。

人間工学という言葉がありますが、難しく考えなくても、

人がモノにどこまで合わせなければならないのか。

逆に、

モノの方をどこまで人に合わせられるのか。

という話なのだと思います。

今回、私が気になったのはたまたま車のドアでした。

でも身の回りを見渡してみると、

「使えないわけではない。でも、なんか使いにくい」

というものは、かなりあります。

そういう小さな違和感には、製品をもっと使いやすくするヒントが隠れているのかもしれません。


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家、街、車、家電、文房具、衣類など、毎日の生活で「使えないわけじゃないけど、なんでこんなに使いにくいんだろう」と感じるものはありませんか。

このブログでは、そんな身近な違和感も実際に調べたり、測ったりしながら取り上げていきます。

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