実家に帰ったとき、
「前より階段が急に見える」
「使っていない部屋が増えている」
「庭の手入れが大変そう」
そんなふうに感じたことはないでしょうか。
親は「まだ大丈夫」と言います。
しかし、住まいの変化は介護認定より前に始まっていることがあります。
私は作業療法士として高齢者の生活を見てきましたが、身体機能の低下より先に、家との付き合い方が変わっていく場面を数多く見てきました。
今回は「親の家、このままで大丈夫ですか?」という視点で考えてみたいと思います。
高齢者の多くは持ち家に住んでいる
総務省の統計では、高齢者世帯の多くが持ち家で暮らしています。
長年住み続けた家には思い出があります。
近所付き合いもあります。
そのため、住み替えを考えるきっかけがないまま年齢を重ねることも少なくありません。
しかし家は経年劣化するものの形に変化はありません。
変化するのは人の方です。
危険なのは転倒だけではない
住環境というと、手すりや段差を思い浮かべる方が多いと思います。
もちろん大切です。
しかし実際には、転倒リスクより前に現れるサインがあります。
それが
「家を維持する力の低下」
です。
介護保険の認定がなくても起きます。
むしろ介護が必要になる何年も前から始まっていることがあります。
サイン① 2階を使わなくなった
以前は寝室だった部屋が物置になっている。
洗濯物を干さなくなった。
2階へ上がる機会が減った。
こうした変化は珍しくありません。
階段は毎日少しずつ負担になります。
本人は意識していなくても、生活範囲が縮小している可能性があります。
サイン② 庭が荒れてきた
草取りが追いつかない。
雪かきが大変になった。
植木の管理が難しい。
これは身体機能の低下だけではありません。
家そのものの管理能力が低下しているサインでもあります。
特に北海道では除雪が大きな課題になります。
サイン③ 使わない部屋が増えている
子どもが独立し、配偶者を亡くし、気づけば使っている部屋は1階の数部屋だけ。
こうした状態は珍しくありません。
しかし固定資産税や修繕費は家全体にかかります。
住まいの規模と実際の生活が合わなくなっている可能性があります。
サイン④ 通院や買い物を家族が担い始めている
高齢になると車の運転をやめる方もいます。
すると、
・買い物
・通院
・銀行
・役所
こうした外出を家族が支えることになります。
この段階になると、家の中だけではなく立地も重要になります。
住み慣れた家が必ずしも暮らしやすい家とは限りません。
サイン⑤ 親が「まだ大丈夫」と言い続ける
実はこれが一番難しい問題です。
住み替えも住宅改修も、本人が必要性を感じなければ進みません。
だからこそ、
転倒してから
骨折してから
入院してから
ではなく、
元気なうちに話を始めることが大切です。
子ども世代にできること
私はまず家の中を一緒に歩いてみることをおすすめしています。
・階段は安全か
・トイレは使いやすいか
・冬の生活は大丈夫か
・買い物はどうしているか
・5年後も暮らせそうか
こうした視点で見ると、今まで気づかなかった課題が見えてくることがあります。
住み続けることが正解とは限らない
長年住んだ家を離れることには抵抗があります。
しかし、
住み続ける
住宅改修する
住み替える
高齢者住宅を選ぶ
どれも選択肢です。
大切なのは、「今住めるか」ではなく、「これからも暮らし続けられるか」を考えることです。
まとめ
親の家の問題は、介護が始まってから考えるものではありません。
多くの場合、そのサインは何年も前から現れています。
2階を使わなくなる。
庭の管理が難しくなる。
買い物や通院を家族が支えるようになる。
こうした小さな変化は、これからの住まいを考えるきっかけになります。
元気なうちに話し合うことが、将来の選択肢を増やすことにつながるのではないでしょうか。


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