運転免許を返納したら、暮らしはどう変わるのでしょうか。

介護と住まい

高齢になると、運転免許の返納について考える場面が増えてきます。

事故のニュースを見るたびに、「そろそろ返納した方がいいのではないか」と家族で話し合うこともあるでしょう。

しかし、運転免許の返納について語られるとき、私には一つ気になることがあります。

それは、**「返納した後の暮らし」**について、あまり語られていないことです。

事故を防ぐことはもちろん大切です。

ですが、その一方で、車を手放した後の生活も同じくらい大切ではないでしょうか。


「運転はできます。でも、正直怖いんです」

以前、片麻痺があり、改造車を運転している方と話をしたことがあります。

その方は、こんなことを話していました。

「運転はできます。でも、正直怖いんです。」

ハンドルには補助装置が付き、片手でも運転できるよう工夫されています。

それでも、

ブレーキを踏む力が強くなってしまうことがある。

とっさの反応が遅れているように感じる。

疲れると操作に不安を覚える。

本人が一番、自分の身体の変化を理解していました。

しかし、そのあとに続いた言葉が印象的でした。

「でも、車がないと生活できないんです。」

この一言に、多くの地方都市が抱える課題が詰まっているように感じました。


函館でも、車が生活の一部になっている地域があります

函館市内でも、地域によって生活環境は大きく異なります。

徒歩でスーパーや病院へ行ける地域もあれば、車がなければ日常生活が難しい地域もあります。

さらに北海道では、

冬の積雪や路面凍結、

坂道、

公共交通機関の本数、

タクシー代など、

移動そのものが生活の大きな課題になります。

運転免許を返納するということは、単に移動手段を失うだけではありません。

買い物。

通院。

仕事。

趣味。

地域とのつながり。

そのすべてに影響する可能性があります。


「運転能力」だけではなく、「生活」を見る視点が必要です

事故を防ぐために、運転能力を評価することは重要です。

一方で、運転をやめた後の生活を考える視点も欠かせません。

例えば、

毎週通っている病院へ、どうやって行くのでしょうか。

重い荷物を持って買い物をするには、どんな方法があるでしょうか。

友人との交流や趣味を続けられるでしょうか。

生活は、車を降りた瞬間から始まります。

運転免許を返納するかどうかだけではなく、

返納した後も暮らし続けられる環境があるのか。

そこまで考えることが、本当の意味での支援だと思います。


「返納するか」ではなく、「返納した後」を考える

運転免許の返納は、安全のために必要な選択になることがあります。

だからといって、

「返納しましょう。」

だけでは、生活は守れません。

家族。

地域。

公共交通。

買い物環境。

地域包括支援センター。

行政サービス。

こうした地域全体で支える仕組みがあって初めて、安心して返納という選択ができます。

本人だけに判断を委ねる問題ではないのです。


住環境とは、「家の中」だけではありません

住環境という言葉から、手すりや段差を思い浮かべる方は多いかもしれません。

もちろん、それも住環境です。

しかし、本当に暮らしを支えているのは、

家の外にある環境でもあります。

安心して外出できること。

病院へ通えること。

買い物へ行けること。

社会とのつながりを保てること。

そうした環境があってこそ、「暮らし」は続いていきます。

運転免許の返納は、交通安全だけの問題ではありません。

地域で暮らし続けられるかという、住環境の問題でもあるのです。


チェックリスト

□ 運転免許を返納した後の移動手段を考えていますか。

□ 通院や買い物を続けられる環境がありますか。

□ 家族以外にも頼れる支援がありますか。

□ 冬でも安全に外出できますか。

□ 「運転できるか」だけではなく、「暮らし続けられるか」という視点で考えていますか。


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