― 動線は広ければ良いわけではない
住まいを考えるとき、
よく「動線」という言葉が使われます。
キッチンから食卓までの距離
洗面所から浴室までの流れ
玄関からリビングへの導線
生活の動きを考えて設計することは、
とても大切なことです。
そのため住宅では、
通路を広くする
空間を広げる
動きやすい間取りにする
といった工夫がよく行われます。
ただ実際の生活では、
広くしたことで逆に不便になることもあります。
動線が広すぎると動作が増える
以前、介護を考えて住宅を整えた家庭で、
キッチンと食卓の距離が大きく取られている家がありました。
通路は広く、
車いすでも通れるように作られています。
設計としては、
とても丁寧に考えられている住まいでした。
しかし実際の生活では、
食事の準備が思った以上に大変になっていました。
料理を運ぶ
食器を下げる
飲み物を取りに行く
そのたびに、
キッチンと食卓の間を往復する必要があります。
通路が広いこと自体は問題ではありません。
ただ距離が長くなると、
それだけ動作も増えてしまいます。
生活の中では「小さな移動」が積み重なる
日常生活では、
一つ一つの動作は小さくても、
それが何度も繰り返されます。
例えば食事の準備では
料理を運ぶ
箸を取りに行く
飲み物を出す
皿を下げる
こうした動作が
何度も行われます。
そのたびに移動距離が長いと、
生活の負担は少しずつ大きくなります。
特に体力が落ちてくると、
この差は意外と大きく感じられることがあります。
健常者には気にならない距離でも負担になることがある
以前見た住宅では、
キッチンから食卓までの距離が
およそ 4〜5メートルほどありました。
健常な人であれば、
この距離は特に問題に感じないかもしれません。
実際、普段の生活でも
この程度の移動は珍しくありません。
しかしその家では、
人工股関節の手術を受けた方が生活していました。
食事の準備では、
料理を運ぶ
飲み物を取りに行く
食器を下げる
といった動作が何度も繰り返されます。
4〜5メートルという距離でも、
物を持ちながら何度も往復するとなると
思った以上に負担が大きくなります。
設計としては、
通路が広い
動きやすい
という配慮がされていました。
しかし生活の側から見ると、
距離が長いことで動作が増えてしまうという状況になっていました。
広さと使いやすさは同じではない
広い空間は快適に感じられることも多く、
住宅では大きな魅力の一つです。
ただ、広さと使いやすさは
必ずしも同じではありません。
生活では
移動距離
動作の回数
体の負担
といった要素が
使いやすさに影響します。
そのため、
広くすること
通路を確保すること
が大切である一方で、
生活の流れの中で距離を考えることも必要になります。
住まいは生活の動きで決まる
住まいの設計では、
広さ
動線
安全性
などが考えられます。
しかし実際の生活では、
それらが単独で働くわけではありません。
体の状態
生活の習慣
家族の関わり
こうした条件が重なって、
暮らしの形が決まっていきます。
そのため住まいの工夫は、
設備や広さだけではなく
生活の動きの中で見ていくことが大切になります。
住まいには想像力が必要になる
住まいの設計では、
安全性や使いやすさを考えて
さまざまな工夫が行われます。
ただ実際の生活では、
体の状態
動作の方法
生活の習慣
によって、
使いやすさは大きく変わります。
健常な人にとって問題のない距離でも、
体に制限がある人にとっては
負担になることがあります。
そのため住まいを考えるときには、
設備や広さだけでなく、
どのような動きが日常的に行われるのか
を想像することがとても大切になります。
まとめ
住宅では、
広い通路
ゆとりのある空間
が良いものとして考えられることが多いです。
ただ実際の生活では、
距離が長くなることで
動作が増えてしまうこともあります。
住まいの使いやすさは
広さだけで決まるものではありません。
生活の中でどのように動くのか。
その流れを見ながら考えることで、
住まいの形も少し違って見えてくることがあります。
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