玄関ポーチが高すぎてスロープが作れない家

― 介護と住まいが噛み合わなくなるとき

介護を考える住まいでは、
玄関の段差をどうするかがよく話題になります。

段差を小さくする
手すりをつける
スロープを設置する

こうした方法が紹介されることも多く、
実際にスロープを設置することで外出が楽になるケースもあります。

ただ、現場ではもう少し難しい問題に出会うことがあります。

それは

スロープを付けたくても付けられない家です。


玄関ポーチが高い住宅は少なくない

少し前に建てられた住宅では、
玄関ポーチが高めに作られている家が珍しくありません。

道路から玄関まで
大きめの段差があり、
数段の階段を上がるつくりです。

当時はそれが特別なことではなく、
むしろ一般的な住宅の形でもありました。

家族が元気に生活している間は、
その段差が問題になることはあまりありません。

しかし体の状態が変わると、
この段差が急に大きな壁になります。


スロープには「長さ」が必要になる

段差を解消する方法として、
スロープが考えられることがあります。

ただしスロープには
ある程度の長さが必要です。

急なスロープでは、
上ることも下りることも難しくなってしまうからです。

例えば玄関ポーチの高さが大きい場合、
十分な勾配を確保するには
かなりの距離が必要になります。

ところが実際の住宅では、

・敷地が狭い
・玄関前のスペースが限られている
・動線が変わってしまう

といった理由で
その長さを確保できないことがあります。

スロープには地域の条件も影響する

スロープの設置では、
一般的に 勾配1/12程度 が目安とされています。

車いすの利用を考える場合は、
1/15程度が望ましいとも言われます。

ただ、この勾配を満たそうとすると、
実際にはかなりのスペースが必要になります。

例えば、
玄関ポーチの高さが高い住宅では、
スロープの長さが長くなりすぎて
設置が難しくなることがあります。

さらに北海道では、
住宅の基礎が高く作られていることも多く、
段差が大きくなりやすい傾向があります。

これは

凍結対策
積雪
寒冷地の構造

といった地域の事情によるものです。

そのため、
理想的な勾配のスロープを作ろうとしても

・敷地のスペースが足りない
・雪の処理が難しい
・凍結の問題がある

といった理由で
現実的ではない場合もあります。


「作れば使える」とは限らない

スロープはとても便利な設備ですが、
急すぎると使われなくなります。

逆に、
スペースが狭すぎると
車いすの操作が難しくなります。

こうした問題は、
玄関だけに限りません。

住まいの中では

急すぎる段差
狭すぎる動線
高すぎる設備

といった条件が
生活の使いにくさにつながることがあります。

住まいの工夫は大切ですが、
実際の生活の中で使える形になっているか
考えることも同じくらい重要になります。

結果として玄関が使いにくくなる

こうした条件が重なると、

スロープを設置することが難しい
という状況になります。

すると玄関は

段差が大きい
階段しかない

という状態のまま残ります。

家のつくりとしては
特別おかしいわけではありません。

ただ生活の側が変わると、
その玄関が使いにくくなることがあります。


住まいは「将来の生活」で作られていないことが多い

こうした問題は、
誰かが間違えて家を作ったわけではありません。

多くの住宅は、
その時の生活に合わせて作られています。

元気に生活する家族にとっては、
玄関の段差は特に問題にならないことも多いからです。

しかし体の状態が変わると、
同じ住まいでも生活の条件は変わっていきます。

家はそのままでも、
生活の側だけが変わっていく。

その結果として、
住まいとのズレが生まれることがあります。


玄関は住まいと外をつなぐ場所

玄関は
住まいの中でも特に重要な場所です。

外出
来客
荷物の出し入れ

さまざまな動きが集まります。

だからこそ、
玄関の段差や動線の問題は
生活の幅にも影響することがあります。

住まいを考えるときには、

段差
手すり
スロープ

といった設備だけでなく、
生活の動きの中で玄関を見ることも大切になります。


まとめ

玄関の段差を解消する方法として
スロープが考えられることがあります。

しかし実際の住宅では、

ポーチの高さ
敷地の広さ
動線

といった条件によって
スロープの設置が難しいこともあります。

住まいの問題は
一つの設備だけで解決できるとは限りません。

家の形と生活の変化が重なったとき、
思いがけない使いにくさが生まれることがあります。

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